データの可視化・分析により、戦略的な採用活動を支援する「HRMOS(ハーモス)採用管理」
「HRMOS(ハーモス)」とはどのようなサービスですか?
「HRMOS」の世界観についてまずお話ししますと、企業における人材採用って、採用して終わりではないんですよね。弊社では戦略人事といいますが、経営戦略に基づいて採用して配属して育成して評価して、さらにその先、企業に定着して活躍してもらう、ということをやっていく必要があります。業務の効率化や生産性の向上、社内の人材の流動化や、最適配置の意思決定のために定量的なデータを使えるようにして、採用した人材の活躍を支援していく、そういったサービスを展開していくのがHRMOSです。
古野さんは、HRMOS採用管理の仕事では、エンジニアとはどのように関わっていますか?
私はHRMOS採用管理の事業全体の責任者で、その中にセールスのチームと、プロダクト開発のチームと、大きく2つに分かれています。それぞれに部門長がいますが、私も各チームのメンバーと直接話をします。エンジニアだけでなく、セールスやデザイナーも含めて希望者に集まってもらってセッションを行うんです。事業が数値的にどういう状態にあって、今後どうやって成長していこうとしているのか、会社の数字を全て説明し、ディスカッションしています。
エンジニアからは、「以前は作っている機能が社会に対してどういうインパクトを与え、価値を生んでいくのか見えづらかったけれど、セッションを通じて理解できるようになった」という声があがっていますね。そこから、この機能をもっと作ったほうがいいと思う、というような意見を自主的に出してもらって、ボトムアップでサービス開発の方向性が決まっていくことが多くあります。課題をみんなで共有して、どうやって解決していくのか、個々人が自分の頭で考えて動いていくというのが、この組織の特徴です。
エンジニアと仕事をするときに気をつけていることはありますか?
プロダクト開発は、どうしてもエンドユーザーの体験を理解しづらい部分が多いと思うんです。人事が使うプロダクトなので採用担当の方の話を聞くとか、定期的に勉強会を開くとか、そういう場を通して自分たちのプロダクトに自信を持って開発できるような環境を作っています。他にも、ユーザー会というものを展開したりしています。
ユーザー会は、エンジニアがお客様の声を直接聞ける機会
ユーザー会というのはどのような場ですか?
導入後のサポートをしているカスタマーサクセスチームという部署があり、そのチームが主催しています。企業様同士でサービスの使い方を深く説明しあったりして、交流する場です。
エンジニアも同席して「あ、こんな使い方をされていたんだ」と気づいたり、「ここって使いづらいよね」というお客様の声を聞くことが、一種の修行になっています。正直耳の痛い話もありますが、エンジニアにとってユーザー会は、自分たちがお客様にどんな価値提供ができているかを改めて実感できる場になっています。
エンジニアがユーザーの声を直接聞ける場があるのは珍しいのですよね。
エンジニアにとっては、いい刺激になっていますね。
通常のBtoB事業でも、セールスを通して要望を聞くことはあると思いますが、どうしてその機能が欲しいのか、までは思い至らないこともあります。要望された機能を追加しても、「これじゃなかった」と言われるケースもあります。なぜお客様の声を聞くかというと、先回りして課題を解決していくためです。
BtoBのプロダクトは、人がシステムに合わせて業務フローが設計されていってしまうことが多いと思います。もともと弊社には、全てのお客様に良いUI/UXを提供していきたいというDNAがあるので、お客様の声を直接聞いて開発に取り入れる場は大事ですね。良いサービスを提供し続けるためにユーザー会は欠かせません。
教育業界とHR業界、共通点とは?
業界を超えての転職を経験されていますが、そのときのお気持ちや、その経緯などをお聞かせください
教育業界で新規事業をやってきて、まがりなりにも自分の教育観のようなものが徐々に確立してきました。なぜ教育に関わるのかを考えてみると、社会に出たときにキラキラ輝く人を増やしたい、というのがモチベーションの源泉でした。そのうち、人が社会に出るときに意思決定する瞬間に立ち会って、人が幸せになる機会をもっと増やしていきたいと思うようになって。そうやって少しずつ選択肢の中にHR業界が入ってきました。個人的には教育とHRって、全く別物とは捉えていないんです。その人が社会に出て、ビジネスパーソンとして働いていくうえで、幸せな意思決定をし続ける、そのための支援をしていきたい。人は一生育ち、学び続けるものだと思うので、そこに立ち会いたいというのが自分の根源です。その中のひとつとして、今HRに携わっているんです。
実際にHR業界に身を置いてみていかがですか?
幸せな人生の選択をしていく、その支援ができるというのが自分のモチベーションです。働く人が輝く状態ってどういうことなのかを考えてみると、所属している企業の中で輝いている、という状態なんですね。だから、企業が人を生かすということは大事だし、経営的にも、働く人の生産性が1.2倍になったら、企業の収益も1.2倍になるんですよ。HRMOSでは採用から育成、配属、評価といったあらゆる人事業務の最適化を支援していくので、より大きな課題解決に貢献できると感じています。
HRテックは、世界的にも注目されている領域ですね。
そうですね。ただ、教育においてもHRにおいても同じですが、本来はテクノロジーそのものが素晴らしいわけではなくて、解決すべきことに対してテクノロジーが有効であれば使いますし、課題解決にインターネットが使えると思っているから、その領域をやっています。人々の働き方や採用のあり方を変えるのが目的で、そのための手段としてテックを使っているというのが、今の考えですね。
これからのHR業界とHRMOS
これからHR業界はどう変わっていくと思いますか? また御社の業界への関わりについては?
私が業界を語るのはおこまがしいと思うんですが……。日本のGDPを上げるためにどうしたらいいのか考えたときに、労働力人口は今後増えていくことはないので、今眠っている労働力を呼び覚ますか、その生産性を高めるかしかないと思います。だから、採用とか人事とか人々の働き方とかは、必然的に進歩していくのだろうと思いますね。
これからのHR業界に、弊社がどう関わっていくのかというと、ひとつは雇用の流動化。例えばいろんな人が東京一極集中でいいのかとか、眠っている労働力である女性、高齢者がもっと働きやすい社会を作っていくうえで新しいサービスを創出できないかとか。
もうひとつは、企業自体の生産性をいかに上げていくかということ。仕事の生産性を上げるには何をすべきかと考えたときに、人の手でやらなくてもいい仕事ってありますよね。HRMOSが支援しているのはその部分です。
採用担当者の多くの時間が、日程調整やレポートといった本来の仕事ではないところに割かれてしまっています。人事は本来、企業の経営戦略があって、各事業戦略があって、そのためにこういう人材が必要だよねという採用戦略があって、要は企業にとって非常にプライオリティが高い仕事であるはずなんです。
経営者と対等に話せる人が戦略を立て、PDCAをまわしていくことこそが本当に人事がやるべきことなのに、時間がとれていないのが現状です。雑務的なものを全部排除して、判断材料を作って提案し、そこから意思決定できる状態まで持っていくのが、HRMOSが目指しているところです。
その方向性に合わせて、HRMOSも進化して行くということでしょうか?
HRMOS採用管理にしても、採用プロセスの効率化だけで終わらせるつもりはないので、今は企業が採用戦略を立てるためのサービス開発に注力しています。例えば、HRMOS採用管理と、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」の両方をご利用いただいている企業様については、HRMOS採用管理上で求人情報を入力すると、「ビズリーチ」のデータベースから人材要件にマッチした人材がレコメンドされてくるという機能を近日、本格リリース予定です。
また、弊社はビズリーチ事業で豊富な人材データベースを蓄積してきました。そのデータとAIのテクノロジーを活用することで、人事がまだ気づいていない情報を可視化し、道筋を照らすといったことができるんじゃないかと、可能性を感じています。
今後の目標や挑戦してみたいことについて聞かせてください。
HRMOSはすごく大きな可能性を持っているプロダクトだと感じているので、たくさんの企業様にもっともっと知ってもらいたいですね。自社の採用を強くすることを真剣に考え、PDCAを回し続けている採用担当者の方がたくさんいらっしゃると思います。そういったことを一生懸命されている採用担当者の助けになるようなサービスを、展開していきたいですね。