たった1日で定員オーバー!注目が集まった「ソニーのNeural Network Console 大勉強会」
大勉強会のイベント開催情報がconnpassで公開されたのが11月の上旬だったのですが、公開された翌日にイベントページを開いてみると…
ranran
あれ・・・? 参加枠・・・?
ranran
定員オーバーするの早すぎない? まだ1日しか経ってないですよね・・・?!
と、大変驚きました。そして、イベント当日にはキャンセル待ち51人の大人気イベントになりました!
イベント中にも登壇してくださったNeural Network Console開発者の小林由幸さんも…
小林さん(Neural Network Console開発者)
今回は、こちらから情報を発信する前にたくさんの方から参加の申し込みをいただき、非常に驚きました…。
とおっしゃっていたほど。
それだけ、このNeural Network Consoleがエンジニアをはじめとする多くの方々から注目されているツールであることを実感しました。
機械学習を活用する開発者によるプレゼンテーション
まず、大勉強会の前半では、現在機械学習を活用している開発者3名と主催者の株式会社LABBIZ 神谷亮平さんによるプレゼンテーションが行われました。現在取り組んでいることについてや、Neural Network Consoleについての質問などを発表していただきました。
Neural Network Consoleとラズベリーパイで簡単エッジコンピューティング
【登壇者】株式会社LABBIZ 神谷亮平さん
Neural Network Console で学習した顔認識モデル、Neural Network Libraries、Raspberry Pi、AWS IoTを組み合わせ、神谷さんの顔を認識するとメールで通知が来るという顔認識IoTシステムを制作し、紹介してくれました。
実際に顔認識IoTシステムを制作してみて、Neural Network Consoleを用いたことで簡単にニューラルネットワークを設計することでき、Neural Network LibrariesについてもC++のみで書かれているため、組み込み機器上でも動かしやすかったとのことでした。さらに、Neural Network ConsoleやNeural Network LibrariesはIoT、エッジコンピューティングと非常に相性が良いそうです。
AIによる経済情報の活用
【登壇者】株式会社ユーザベース 北内啓さん
経済専門のニュースアプリ『NewsPicks』や経営企画のための情報収集・分析ツール『SPEEDA』を提供する株式会社ユーザベースでのAI活用方法についてお話してくれました。
NewsPicksではユーザーの好みを学習して記事推薦する「マイニュース」機能で、SPEEDAでは企業の業界推定にAIが用いられているそうです。
北内さんからは、Neural Network Console開発者の小林さんに対して、Neural Network Consoleを使って時系列データを分析する方法と、Neural Network Consoleの広報活動についての質問(後述)がありました。
nnabla.Contextの調査 〜デバイス拡張を目指して〜
【登壇者】筑波大学 田尻健斗さん
第1回AI Code Hackersから参加してくださっている大学院生の田尻さんは、FPGA(現場で書き換え可能な論理ゲートの集合体)がNeural Network Consoleでどうしたら利用できるかを調査したそうです。デバッガを使いながら、コードを読んでいく方法なども紹介してくれました。
現段階ではNNablaの低レイヤ部分のコードの分析を進めていて、次はダミーデバイスのモジュールを作ってNNablaに読み込ませてみたいと話していました。
映像解析プラットフォームSCORERとAI利用について
【登壇者】株式会社フューチャースタンダード 鳥海哲史さん
株式会社フューチャースタンダードが提供する映像解析プラットフォーム『SCORER』について紹介してくれました。
SCORERは、AIを利用したことがない人でも最先端の映像解析が行えるサービスです。このプレゼンテーションの数日後にはクラウド版の『SCORER Cloud Processing』もリリースされ、今後もさらにサービスを拡大していきたいと話してくれました。
Neural Network Consoleと『SCORER Cloud Processing』の連携の可能性について検討したいそうです。
開発者によるNeural Network Console活用テクニックの紹介
後半は、Neural Network Console開発者の小林由幸さんより、Neural Network Consoleの活用方法・事例の紹介や質疑応答の時間となりました。
Neural Network Consoleについて
小林さん
Neural Network Consoleは、商用クオリティのディープラーニング応用技術開発のための統合開発環境です。現在は、Windows版とクラウド版を提供しており、インストール(もしくはサインアップ)するだけで本格的なディープラーニングの研究開発をコードレスで効率よく行うことができます。成果物はNeural Network Librariesを使って、製品やサービスに組み込むことができます。
既にソニーグループ内では多くの商品化、実用化の実績があります。『Xperia Ear』のジェスチャー認識やデジタルペーパー『DPT-RP1』の「*(手書きの※印)」の認識などに利用されています。
小林さん
Neural Network Librariesを用いた学習および認識機は、エンタテインメントロボット“aibo”(アイボ)『ERS-1000』では鼻先の魚眼レンズによる画像認識の人物判定から顔トラッキング、チャージステーションの認識、一般物体認識など…本当に使い倒しています。
小林さん
「ディープラーニングって何に使えるの?」と聞かれることは多くて、画像認識とか囲碁とか…そういったものを思い浮かべる方も多いと思いますが、基本的には入出力を何にするかです。この組み合わせの発想を広げてもらうことで本当にいろんなことに使うことができます。私たちがNeural Network Consoleを提供しているのも、いろんな人に使ってもらって、この応用の幅を広げてもらいたいという意図があります。
小林さん
ニューラルネットを設計する際、ちょっとは勉強していただかないといけないかもしれないのですが、そんなに難しくはありません! 基本的にニューラルネットは、関数の組み合わせで構成されていて…「Affine」とか「Sigmoid」とか、これらがどんなものか? というのはif文やfor文がどんなものかというのと同じくらいのレベルで、分かりやすいテキストなんかもいくらでもあると思うので、ぜひ一度勉強してみてもらえるといいかなと思います。
ranran
入出力次第でいろんなことに応用できるというのは、すごくロマンチック…!もっといろんな人がいろんな視点から応用方法を考えたら、どんどん技術が進歩しそうです。
それから、なんか難しそうだな〜と思って関数ブロックのそれぞれの中身の勉強は後回しにしていましたが、if文&for文レベルなんですか…?! 誰かもっとはやく教えてくれたら勉強したのに…!!!(勉強します)
質疑応答
Neural Network Consoleについてと活用事例についてお話いただいた後は登壇者や参加者の方々からの質問に対してお答えいただきました。
コードを書くよりも速く開発できますか?
小林さん
デバッグや試行錯誤が圧倒的に楽です! 新しいニューラルネットワークの定義をコードで書いて、デバックして…いろんなネットワークと試した結果をそれぞれファイルに保存して…さらにそれをビジュアライズして、比較して…こういったニューラルネットワークを開発するときに大変な作業をとにかくいろんな機能として盛り込みまくったのがこのNeural Network Consoleです。
Recurrent Neural Networks(RNN)系の扱い方を教えてください。
小林さん
RNN系の扱い方について今ここで説明するにはあまりにも重たすぎる内容なので、チュートリアルを拡張していこうと思います。もしくは今後こういった勉強会の機会を設けて、RNN系の扱い方についてみっちりレクチャーできたらいいなあとも思っています。
今後の広報活動は? どこで情報をチェックしたらいいですか?
小林さん
今日のような勉強会などの情報は基本的にはブログやTwitterで発信していきたいと思っています。先ほども北内さんのほうから「フォロワーが少ない」と言われてしまったので、ぜひみなさんフォローしてください…(笑)
まとめ
本当に内容が盛りだくさんでめちゃくちゃ勉強になる「ソニーのNeural Network Console 大勉強会」でした。開発者の小林さんから発表していただいた内容やその他の質問に対する回答については、下記リンクより閲覧できますので…超必見です。
また、「人工知能のコードを読んでハックして遊ぶ」ことを主旨とし実用を完全に無視した趣味の会であるAI Code Hackersから分岐して、Neural Network Console/Neural Network Librariesを活用方法やデータ・モデル・ソースコードなどを蓄積・共有することを目的とした勉強会「DELTA」が発足しました。人工知能を仕事で活用したいと考えている方はこちらの開催情報をぜひチェックしてください。また、運営メンバー等も募集しているそうなので、気になる方はご連絡いただけると幸いです。